「涙は喜びにかわる」

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「涙は喜びにかわる」

チャプレン室 泉川 留美子

 

「夕暮れには涙が宿っても、朝明けには喜びの叫びがある。」詩篇30:5

 

「落穂拾い」と言えば、ミレーの描いた絵を思い出す人が多いでしょう。

この絵は、聖書の中のルツ記がもとになっていると言われています。

ルツという女性について、聖書は敬愛される信仰厚い人であり、

すばらしい嫁であったことが記されています。

 

ルツには子はなく、夫を失い、さらに舅や義弟までも亡くなりました。

姑のナオミと二人、生活の糧を得ることもできず、

ナオミのふるさとへ帰るしかありませんでした。

 

ナオミのふるさとでは、貧しい人たちのために、

麦などの農作物の刈り入れの後に、

落ちた穂は残しておくようにという神様の教えがありました。

 

ルツは姑ナオミとの二人の生活を支えるために

毎日、落穂拾いに出かけたのです。

人間的に見れば、まさに人生の夕暮れのような生活でした。

 

ところが、神様の導きです。

ルツが落穂を拾っていた畑は夫の親戚の畑でした。

さらに、その畑の持ち主のボアズと結婚へと導かれ、

姑のナオミも一緒に、幸せな日々が与えられました。

そして、やがてボアズとルツの子孫として、

ダビデ王、イエス・キリストが生まれたのです。

 

「夕暮れには涙が宿っても、朝明けには喜びの叫びがある」と

うたったのは子孫であるダビデでしたが、

ルツの人生をうたっているかのようにも感じられます。

神を愛し、人を愛して生きる人の人生は、

喜びの朝を必ず迎えることができるのです。