「神の国はどこに？」

チャプレン室　田中 歩美

子どもの時、異世界に飛んで旅をするというお話を、ワクワクしながら読んでいたことがあります。

竜宮城や秘密基地、桃源郷など、どこか別の場所に素晴らしい世界があるという設定は、子どもの好奇心や探求心をくすぐるものです。

そのような物語の延長線上で、神の国についても、「どこか別の場所にあるのでは？」と考えていたことがありました。

しかし、神の子であるイエス・キリストは、神の国について次のように答えています。

「神の国は、目に見える形で来るものではありません。

『見よ、ここだ』とか、『あそこだ』とか言えるようなものではありません。

見なさい。神の国はあなたがたのただ中にあるのです。」

（聖書　ルカの福音書17章20節～21節）

つまりイエス様は、「神の国とは、どこか別の場所に存在するのではなく、あなたがたの心の状態、心の在り方によって神の国が成るのです」と教えてくださったのです。

どんなに美しく素晴らしい場所であったとしても、そこに集まる人達が自己中心の心をもち、お互いを憎み合っていたら、神の国とは程遠い世界になるでしょう。

神の国とは、愛の世界です。

そして愛とは、「寛容で親切」だと聖書は教えています。

相手を受け入れ、相手のために必要なことをしていく、その愛の心をもつ人達が集まった時、そこに神の国が現れてくるのです。