「愛の実がなる人生」

チャプレン室　金 知明（キム ジミョン）

梅雨直前、介護老人保健施設若松苑１階の畑に野菜の苗を植えました。散歩しながら気づかれる方、窓から見下ろして毎日気にされる方など、見る人みんなが野菜の成長と実りを楽しみにしています。「この時期は何を植えようか」「どのような配置にしようか」と、日頃から話し合いが尽きません。苗を植えて間も無く梅雨を迎えると、畑に水が溜まり「根腐れしないだろうか」「大きく成長するだろうか」と毎日のように心配しました。入所者の意見や思いを形にできればと、畑作業初心者の私も小さなことに感動しながら、毎日畑作業を学んでいます。

畑作業のポイントとして「もっと畑を作ってから（土を柔らかく掘り起こしてから）」「雑草はしっかり抜いてやらないと」苗が根を下ろしやすく、成長しやすい条件をしっかり作ってあげることが豊かな身を実らせる第一歩だということを教えてくださいました。

固い土は水捌けも悪く、土の中の空気が入れ替わらないため、根腐れや十分な成長が得られません。また雑草の多いところでは水や栄養を草に取られてしまいます。根を下ろす土の状態は、苗の生涯に大きな影響を与えます。どんな場所に根を下ろしているかによって成長や成熟の速度だけではなく、実りが異なるのです。

たくさんのことを学びながら、ふと自分自身についても考えました。
今何に心の根を下ろしているかによって、何の実が成るのか変わってきます。同じ状況下にあっても見えてくるもの、選び取る決断が異なります。祈りと葛藤、信頼の関係と危機的状況は隣り合わせにありながら、日々の葛藤や危機的状況が訪れると、多くの人が不安や焦りに心囚われます。大変なときこそ、自分の心や周りの人々に希望を与える祈りが必要です。常に、目の前の困難な状況をより良い方向へと導く仲間の力（信頼関係）を感じていられると、どれほど心強いでしょうか。

今この状況を越えて働く神の力は私たちの心に希望を与えます。今日も変わらず私たちの心を支える神の愛が大きな力となります。その愛に私の心の根を下ろすとき、今見つめるべきもの、必要な実りが見え始めるのです。

主(神)よ　あなたの道を私に知らせ　あなたの進む道を私に教えてください。(詩篇25章4節)