「あなたのために生まれた救い主」

チャプレン室　金 知明（キム ジミョン）

クリスマスの様子が描かれた絵を何枚か見ていると、違いは少しずつありますが「星が輝いている」「動物が近くにいる」「赤ちゃんがうまれた」など共通点が多く見られます。また、周りは暗く寂しい様子にもかかわらず、マリアとヨセフ、集まった人たちは嬉しそうな表情をしています。

みんな事情のある人生、それぞれにある重荷を負いながら過ごす日常で、実はみんな待っている救い主。自分を救い出してくれる誰かを、私の人生の問題を解決できる大きな力を持った救世主が現れるのを、それぞれが望んでいます。

「助けてほしい」「救ってほしい」そんな場面は日常に何度もあります。テストや就職の対策をしてくれる特別授業、高騰する物価高から家計を助けてくれる地元のスーパー、忙しい年末大掃除の時短グッズなど。すべては私たちを危機から救ってくれる救世主です。背番号４４番、８０年代に活躍し、阪神タイガースを勝利に導いたランディ・バースもそのうちの一人かもしれません。

共通していることは「ピンチから救ってくれる」「どうすることもできない目の前の状況を打破し、安心と喜びを取り戻してくれる」ことです。救世主は事態の原因と課題、解決方法を知っています。私たちの祈りや願いをはるかにこえる情熱と驚くべき方法によって、私たちを導いてくれます。

「あなた方のために救い主が生まれたよ！」という喜びの知らせを聞いて集まった人たちの前には、一人の赤ちゃんがすやすや？！救い主が、誰かに助けられないと一人では何もできない赤ちゃんだなんて。王様の部屋ではなく、家畜のいる暗いところで生まれるなんて。これは人の願いや理想とは異なりました。しかし、これこそ人が幸せに生きるために事態の原因と課題、解決方法を知っている神様の方法でした。

神様が造った人の心に、いつの間にか「自分だけが良かったらいい」「誰かが困っていても気づかないふりをしておこう」「自分がやりたいことをやりたい分だけやろう、自分のことも周りの人のことも大切にしないことがあっても別にいいよ」「私のいのちをつくった神様なんて、いてもいなくてもいいよ」という思いが出てきます。純粋な心が自分勝手な思いで、いつの間にか汚れていくのです。

家畜小屋は臭いがし、衛生的ではありません。まるで私たちの心を写しているかのようです。暗闇、誰からも関心を寄せてもらえず、寂しさ、希望のない人生と思えるかもしれない、そんな私たちの心に、神様がいつも一緒にいてくれているというメッセージこそ、本当のクリスマスです。

人生の悩み苦しみから私たちを救う救世主がいます。私たちのいのちを造られた神様は「どんな状況でもあなたの価値は変わらない。いつまでも高価で尊い」と語ります。私たちを包んでくれる、そんな神様の愛に向き合うとき、人は「信じることで生まれる希望」「心を支えてくれる愛」に気づき始めるのです。

目に見えるプレゼントより価値のあるもの。あなたの心が安心と希望に満たされるクリスマスとなりますように。キャンドルの明かりは数時間で消え、暦でのクリスマスは1日で終わります。しかし、私たちの人生において、心に注がれる愛は決して消えることはありません。あなたは神様から愛されています。

今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。ルカ２：１１