「二人は一人よりも」

  • チャプレン室「こころのサプリメント」

「二人は一人よりも」

チャプレン室 瑞慶山 真

病院や施設に入るということは

居心地のよい環境や馴染みの関係から離れて過ごすということです。

今まで出来ていたことが、ある日を境に当たり前ではなくなるのですから

イチでも、ゼロでもない、マイナスから始まるとも言えるでしょう。

 

十代の頃、入院した経験があります。

親や学校に束縛されないので、

一人は気ままに過ごせて良かったと初めの頃は思っていました。

 

とは言っても、思うように体が動かない療養生活です。

有り余る時間が長引くのは、私にとっていいものではありませんでした。

「もう誰からも必要とされないのでは」、

「このまま忘れられてしまうのでは」と思うこともあり

あまりの淋しさに泣いた日もありました。

 

どんな体の痛みにはこらえられても

焦る気持ちと歯がゆさを抑えることができても

一人ぼっちだけは耐えきれなかったのです。

 

病院や施設で療養生活を過ごされる方々の中には、似たような思いを経験される方やもっと深い悩みや痛みを抱えている方もきっとおられるのでしょう。

そのような大変な状況にいても

「私は一人じゃないんだ」と実感できる毎日が訪れることを心から願います。

 

そのために支える側の人が必要ですね。

一人から二人に、さらに多くの人と手をとりあうなら

そこには必ずよい結果が生まれるはずです。

“人が一人でいるのはよくない”と

気にかけてくださる神様が、支える側の取り組みに報いてくださるのですから。

 

アガペ(愛)に生きるあなたが、

その人にもっとも近くにいてくださいませんか。

あなたや私を通してその人も、

自分がアガペに生かされていることを実感できるのではないでしょうか。

 

二人は一人よりもまさっている。二人の労苦には、良い報いがあるからだ。

(伝道者の書4章9節)