こころのサプリメント「常に変化していく私たちの心を支え導くもの」

  • チャプレン室「こころのサプリメント」

こころのサプリメント「常に変化していく私たちの心を支え導くもの」

チャプレン室 金 知明(キム ジミョン)

介護老人保健施設若松苑から中城城跡がよく見えます。

城跡を眺めながら苑の利用者様が「私たちがまだ小さかった頃、ここに動物園もあったんだよ。」「子どもを連れて、ここの遊園地に行ったこと覚えているよ。」とお話ししてくれました。城跡の道を上り下りする人や車を見ながら、過去の記憶を思い出し、お話してくださったのです。

私が知らなかったことや初めて聞くことも、実際に城跡を目の前にしながら聞くと、身近に感じられます。今となっては目に見える形としてのお城の姿はありません。

しかし、確かに存在した歴史と文化は今も人々の心に生き続けています。

城を造った人たちの思い、それらを大切に守ってきた人たちの思いが、今を生きる私たちに語り継がれているんだなと感じました。

 

目に見えるものは長期的であれ短期的であれ日々、変化しています。

幼い頃の容姿や内面から、人はずいぶんと成長し変化します。

近くにいる人は、小さな変化になかなか気づかないかもしれませんが、久しぶりに誰かに会うとその変化に驚きます。

つい最近も何年かぶりに帰郷した際、故郷が幼い頃育った街の雰囲気と変わっていたことに驚きました。

確かに存在した時間と昔の記憶をたどりながら、その延長線上に今があることを改めて思わされました。

 

今はどんな姿であれ過去の姿からなる今があり、その過去の姿もそのまた過去の姿にさかのぼる原点があるのです。

私たちの人生やいのちのスタートも同じかもしれません。

たとえ目の前の状況が理想とはかけ離れていても、私たちにいのちを与えて人生をスタートさせてくださった神様の思いを常に感じていたいのです。

姿や心に変化が生じるときほど、いのちを与えてくださった神様の思いを振り返ることができるなら、今も変わらず心の中に生き続ける愛を感じることができるのではないでしょうか。

 

目には見えなくても、人々の思い出を通してかつての記憶が今を支えます。

私たちにいのちを与えてくださった変わらない神様の愛が、常に変化していく私たちの心を支え、今日も導いてくれます。

 

「高いものも深いものも、その他どんな被造物も、わたしたちの主キリスト・イエスにおける神の愛から、わたしたちを引き離すことはできないのである。」

(ローマ人への手紙8章39節)