こころのサプリメント「人とは何者なのでしょう」

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こころのサプリメント「人とは何者なのでしょう」

チャプレン室 長濱 カンナ

韓国に留学していた私は、韓国人Cさんと出会いました。

Cさんは、日本から来た私に親切にしてくれた一人です。

帰国前に、彼女が私に打ち明けてくれました。

「じつは、私はがんを患っているの。

乳がんから始まって、他に2か所に転移していて…。」

彼女は泣いていましたが、決して希望を失っていたわけではありませんでした。

 

はじめは、「大丈夫!神様が癒してくださる。」

そのように思っていましたが、再発と転移したことを知ってからは、

「どうして自分だけ、こんなに苦しい思いをしなければならないのか。」と、

そのことだけに心が囚われていました。

「仕事も結婚も子育てもこれからだっていうのに、がんになってしまって…。

世界中にこんなに多くの人たちがいる中で、

どうして神様は私を選ばれたのですか。」

当時27歳だったCさんは、泣いて神様に訴えていたのです。

 

ある日Cさんは祈り、聖書を読んでいました。

「あなたの指のわざである天を見、

あなたが整えられた月や星を見ますのに、

人とは、何者なのでしょう。

あなたがこれを心に留められるとは。

人の子とは、何者なのでしょう。

あなたがこれを顧みられるとは。

あなたは、人を、神よりいくらか劣るものとし、

これに栄光と誉れの冠をかぶらせました。」   (詩篇8:3-5)

このことばは、私たち人間の救いのために来られる

イエス・キリストについて、ダビデ王が書いたものです。

また別の箇所に「神は実に、そのひとり子をお与えになったほどに、

世を愛された。」(ヨハネ3:16)ということばがあります。

栄光と誉の冠をかぶせたイエス・キリストに十字架を背負わせてまでも、

私たちを救いたいと神様は一人ひとりに目を留めておられるのです。

 

Cさんはこの箇所を読んだとき、「広い海や空を見たり、

神秘的な月や星を見ると『自分ってちっぽけだなぁ』と思うのに、

ちっぽけな人間の方が、壮大で美しい自然に優っているなんて…。

こんな私でも神様は心に留め、

救うためにイエス・キリストを地上に送ってくださったんだ。」と慰めを受けました。

そして、「こんなに多くの人間の中から、稀少な人生を歩む者として、

神様は私を選ばれたんだ。」と励まされたのです。

それからは、生き生きとしているCさんの姿が多くの人の目に留まるようになり、

彼女を通して「慰められ、励ましを受けた。」と言われるようになったそうです。

それがきっかけとなり「残された人生を、私を必要とする人たちのために生きる。」

というのが、Cさんの生きる意味となったのです。

 

最後に、「手術をするの。お祈りをしてほしい。」と言ったCさん。

少しでも命を延ばしたい。

大切な人たちとの早い別れが避けられないことを予期し、涙を流したのは、

少なからず「さよなら」をしなければならない葛藤もあったのです。

しかし、「生命ある限り、自分に与えられた使命を全うしたい。」

と言ったCさんの姿から、ぶれない芯の強さを感じました。

神様から使命を託された自分を誇り、生きる意味が彼女を支えたのです。